のどをつめて

のどをつめて

おばあさんになったソプラノ歌手が

ひとこえあげた

けれど

だれも

めざめはしなかった

おばあさんはどこへゆくのだろう

おおぜいの子供や孫たちをのせて

ぼくよりもましな友だちもいくにんかはのせて

みんなの枕がおばあさんの駅です

おばあさんのしずかなこえは

みんなの心臓のおとになっています

そして

みんなの夢にちいさな車の輪をつけています

ひとすじのかえるの卵の行列のような

おばあさんの列車が

いま

夜明けのはずれの

春の鉄橋を

わたってゆきました

カテゴリー: 声の風景 — admin 23:39  コメント (0)
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