ひとつの道

一杯のコーヒーのなぐさめに

たえねばならない

 

底知れぬ海の重さ

 

立ちはだかる山のしずけさ

 

降りしきる空の虚しさ

 

たえねばならない

 

だれだ だだっ子のように

 

泣いているのは

 

すべては

やってくるのだ

あの内部から

ひとつのみちから

 

ひとりでゆくみち

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闇の花火

花火は

闇に甘えている

 

闇は

性懲りもなく

花火を掴みそこねている

 

闇と花火

どちらが奴隷だ

 

闇の襞をひき裂いて

血に濡れながら

 

私達子供は

生れて来たのではないか

 

遠く歓声があがる

まぬけな大砲が鳴っている

 

闇には

闇の腹腸(はらわた)から絞り出す

 

闇の花火が

あるのではないか

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秋の庭

秋の光がビーズの音をたてる

山雀(やまがら)がないている

窓を

蜜蜂の羽音が

出たり入ったりしている

風がたくさんの手を出して

床屋さんのように

秋の庭の手入れをしている

川砂のみちも

さっぱりかわいて

新しい海苔巻の匂いがする

あちらこちら

大切なことばが

みえない鏡になって

散らばっている

カテゴリー: つぶやくプリズム — admin 21:29  コメント (0)

あめは なにを しに くるか

なにも しには こない

ただ ひとすじの

えいえんの みちを

かけて くるのだ

さようなら さようなら

あめの ことばが きこえる

かぎりない むなしさを ふりおとしながら

うれしげに かけてくる

あゝ だれひとり

この たあいのない

やさしさを

まねする ことが

できない

カテゴリー: つぶやくプリズム — admin 21:20  コメント (0)