2009年11月30日
8
庭の花々が
枯れてゆく
きみが通ったあとなんだ
いいものはみな
きみが
ひろってゆく
ぼくは
きみが落した
魂のしみを
ひろってゆく
なにもうつらぬ
鏡か
みるだけか
ただ
ひかっているだけか
さびしくは
ないか
なにかものをいってみたくは
ないか
だが
おれたち
どっちが
―牢獄なんだ
空は
毛をむしられ
皮をはぎとられ
おまけに
声も
とられ
それでも
やすみなく
地上をたがやしている
あらゆる物や人を
その清らかな血潮で
あらっている
ほんのり
紙きれが
落ちていた
そっと
裏返してみる
なんとゆう
まばゆさ
夕映えの空に
ひなあられのような
ぼくの渡り鳥
ふるえながら
飛んでいた